業界の努力も実らず二輪車の普及は進まない
現在、バイクの販売は世界的には好調であり、インドや中国、東南アジアなどの新興国において普及がすすんでいます。しかし、その一方で、日本国内の市場は縮小が進行しており、近年の年間の販売台数は40万台前後と、ピーク時の1割程度にまで減少してしまいました。日本の二輪車業界を支える大手メーカー4社は、協力して国内の需要を喚起する努力を続けていますが、業界上げての取り組みも実らず、販売台数も伸びず普及は進んでいません。
バイクの販売台数が伸びない理由は複数ありますが、根本的な理由はバイクを必要としていないと考えている人が非常に多いということです。都会では、免許を持たなくても公共交通機関を利用すれば目的地まで容易に移動することができるため、バイクを所有していても維持費がかかるだけで、趣味で楽しんでいる人以外はバイクを所有するメリットはあまりありません。地方でも、20世紀末までは通勤や通学のためのツールとしてバイクを活用する人がたくさんいましたが、21世紀に入ると低価格ながら高品質な軽自動車や電動アシスト自転車の製品が多く登場したことにより、バイクより積極的に選ぶ理由がなくなりました。
現在、バイクユーザーの中心は販売台数がピークだった頃に若年層だった50代以上の人たちで、若年層の需要は減少傾向が続いています。50代以上のユーザーが加齢に伴ってバイクに乗らなくなると、今以上に国内のバイク市場が縮小していくことが予想されるため、バイク業界はより一層の顧客獲得の努力が必要となります。